ここ数ヶ月で4人。昨今の窓拭き死亡事故について思うことを書いてみた
これを書いてる今日っていうか昨日ですね。銀座で窓拭きの死亡事故がありました。
銀座のビル窓清掃 男性転落死 | 2017/3/13(月) 15:22 - Yahoo!ニュース
僕が知る限り、こないだの年末年始から今日までで4人が窓拭きの最中に亡くなっています。大阪で2人。東京で2人。
ロープ作業が法令化されてから、半年くらいしかたってないのに、もう4人が亡くなってるんですよ。
まあ事故のこと細かな詳細は知らないんで、全員がロープ作業中に事故だったのかも知らないし、全員がロープの免許を持っていたのかも知らないですけどね。
(全員がロープはないと思います。確か違う。でも2人はロープのはず)
ただ、これだけ安全対策のことが言われてる昨今において、数ヶ月で4人が亡くなったっていうのは、紛れもない事実です。
そしてこれも事実。
今の安全対策に意味がないっていうこと
安全対策っていうか安全教育ですね。それに意味がないと思います。なぜなら死亡事故の件数が減ってないから。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000104440.pdf
上記のリンクっていうかPDFは、厚生労働省が出しているものなんですが、全く減ってないですよね。いいとこ横ばい。てか昔に比べると増えてる気がします。
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ビルの窓拭きをしている業者っていうのは、だいたいどこか大手のビルメンテナンス会社、ビル管理会社の下請けとして仕事をしているわけですが、ちょっと前から安全について厳しく言われるようになりました。
僕の実感としては5〜6年前くらいからですね。年に1回くらい、下請けのガラス屋(窓拭き業者)を呼んで、安全講習をやるわけですよ。 そういう元請けさんが。
(みんな元請けは何社もあるので、結果的に年に数回の講習を受けたりすることになります)
そういう風に講習の場が増えたり、安全について言われることが増えたにも関わらず、事故の数字が変わらないっていうのは、いまやってることに意味がないっていうことでしょう。数字に現れないことは無意味。
ただ、実際に事故を起こした人間が、安全講習で言われた作業手順でやってたかって言われると、それは違うと思います。元請けが言うことを全て守って作業していたわけではない。
だから元請けサイド、安全講習会を開催する側からすれば、「なんでうちが言うことを守ってくれないんだ。その通りにやってれば防げた事故なのに」って言いたくもなるでしょう。
でもこれも違うんですよ。間違ってるんです。
今の安全講習はガラス屋の利益にならない
だからみんな守らないんですよね。
だいたい安全講習で言われることを守って作業すると、作業効率は大幅に下がります。
例えば「脚立で作業を行うときは2人で作業するようにして、1人は脚立を抑えましょう」なんていう安全対策があったとしましょう。まあこれ実際にあるんですけどね。会社によっては。
これを実際にやったら、作業効率は半分になるわけですよ。2人がそれぞれ脚立に登って作業する場合と比べたら、1人しか登れないんで半分になります。
んで、こういう作業効率が低下する安全対策を押し付けながら、現場の金額、作業単価はビタイチ上がらない、上げないわけです。だから誰も守らない。損するだけの安全対策なんて、誰もやるわけがないっていうことです。
これで元請け側が単価を上げるのならば、それは理にかなってる安全対策ですよ。上記の脚立の例で言えば、その箇所の単価を2倍にするのなら。でもそうでない以上、おかしいとしか言うことはありません。
(根本的に事故率もそんな下がらないんですよ。元請けが考えるような対策では)
みんな分かってるんですよね。安全講習をやって利益になるのは元請けだけだって。自分たちの保身のためにこれをやってるんだって。
何か事故があったときの、元請けとしての責任軽減のために開催してるわけですよ。本気でガラス屋のことを考えてるわけではありません。
だから安全対策を行うのなら、ガラス屋の利益にならないと、根本的に意味がないわけです。誰も率先してやろうとしないから。
まあせいぜい元請けの人が現場に来たときくらいでしょうね。みんな慌ててやってますよ。
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「これやると作業が安全になるばかりか、作業効率まで上がっちゃうな」なんて安全対策があったら最高でしょう。しかもお金もかからないような。
でも実際にそういうことはあんまりないわけです。だから僕は、今の安全教育は非効率だと思っています。
そもそも窓拭きの作業っていうのは、車の運転と同じようなもので、個々の注意力や判断力への依存が大きいんですよ。それで車の事故が減らないように、窓拭きの事故も減らないんですよね。
じゃあどうすればいいのか。まあ将来的にはロボットがやるのが正解ですよ。
こんな2017年の日本において、数ヶ月で4人も死ぬような仕事、人間がやるべきではありません。ロボット化するのが正解であって、それが健全な社会成長だと感じます。
でもロボットがない今現在、みんなどうすればいいのかっていうと、まあ特効薬はないですよ。事故をなくす魔法の対策はありません。
しいて言えば、みんな「やらない勇気」を持つことですかね。無理しない勇気、あえてやらない安心感を元請けさんにアピールしましょう。うちの会社はこの方針を採用しています。
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さて、ここからが本題っていうか、一番言いたいことを書いてみようと思います。
本当は最初に書きたかったんですが、前置きが超長くなってしまいました。
これだけ死亡事故が起きてる昨今、僕は腹が立ってしょうがないんです。もうイライラが止まらない。
何に対してかって言うとあれ。
誰もロボットを作ろうとしないこと
なんでビルメン業界でロボットを作ろうっていう動きにならないんですかね?それが不思議でしょうがないっていうか、腹立ってしょうがないですよ。そういう声がどこからも聞こえてこないことに。
安全安全言うのなら、もう人じゃなくてロボットだってことは明白なわけです。
その辺の講習会でドヤ顔してるオッサンとか、会社で言わないんですかね。「安全を本気で考えるのなら、もうロボットしかないですよ!!これ自分たちで作りましょう!!」って。
僕からすれば、みんな安全連呼してるわりに本気じゃないんだなと思っています。
技術がない、知識がない、お金がない。まあ作れない理由なんていっぱいありますよ。だから誰もやらないのは分かります。
でもじゃあ上の3つ、技術知識お金があったら今すぐに取り組んでるんでしょうか。条件さえ整ってればやってるんでしょうか。
てか今日までの人生、そうやって整った状況下でのみ、歩を進めて来たんでしょうか。そういう人たちは。
好きな子と食事しに行ったときも、相手のモーションがあったときのみホテルに誘うっていう、フニャチン行為を繰り返してきたんでしょうか。
1〜数回目のデートでホテルに誘うっていう男らしさを見せつけてこなかったんでしょうか。
そうやってチャレンジをしない人生を歩んで来た結果、最高の「今」を手に入れてるんだとは思うんですが、僕は立ち上がれと言いたいんですよ。
こういう誰の目にも明らかな未来、窓拭きのロボット化を、その業界にいる人が率先して取り組まないのはおかしいですよ。
その仕事をしてる人だからこそ、作るべき理由があるわけじゃないですか。「もうこれ以上、仲間の死亡事故を見たくない」っていう。
どこかのIT企業やら研究者に任せて、自分たちは何もしないなんて、カッコ悪くて仕方ない。
早く立ち上がれよ
俺以外の誰か。
P.S.
よく一般の人から、「窓拭きの死亡事故のニュース見たけど、なんで命綱付けてなかったの?」って言われることがあるんですよ。でも、窓拭きの仕事っていうのは、そういう状況が多々あるんです。建物自体、窓拭きを考えて作られてるわけでないんで、どこでも安全を確保出来るわけではないんですよね。
例えばこの動画、これ露骨に自分なんですけど、これはビルの8階です。そこで窓の外に身を乗り出して作業しています。
これバランス崩しただけで落ちて死ぬ状況なんですが、命綱を付けるところなんてありません。こういう場所があるんですよ。ビルによっては沢山。
上からロープやゴンドラでアプローチ出来たら、もっと安全だし、下から高所作業車とかでアプローチ出来ればそれに越したことはないんですが、ここはそういう作りになってません。でも窓はある。
P.S.2
ロボット化の話を同業者としててビックリすることがあるんですけど、みんなWINDOROの存在を知らないんですよね。これ窓用のルンバで、ドイツで作られたやつなんですけど。
まだ全然業務用には使えないですけど、3年くらい前には、もうあるわけです。
なんでも最初は実践で使えるようなものではないですよ。それは今ある道具の全てがそうだったように。
でもこういうのはすでにあるって事実を、みんなに知ってもらいたいです。
このブログでもWINDOROの紹介は前にしてて、人によっては買って持ってますよ。Amazonで売ってるから。

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家の窓拭きに悩んでて、このブログに辿り着いた。んでそこでWINDOROの存在知って、今はWINDORO使ってる。なんて方いますもん。前にそういう連絡をいただいたことがあります。
本来であればプロがやるような難しいアプローチのところをロボットに代用してもらうって、僕は素晴らしいことだと思います。
お金もかからないし、人が死ぬこともないから。