ホーリーの窓拭き日記

窓拭き会社社長による、窓拭きブログです。

安全と効率

 
昨日気付いたんですけど、今月の初めにまた同業者が死んでるという。。。
 
 
窓ガラス清掃中の死亡事故って、年に一、二件はあるんですよ。正確なデータが手元にないんですけど、多分平均するとそのくらいです。いや、危険な仕事ですよね。高額のギャラをもらわないと、本当やってられませんよ(笑)
 
 
この事故を受けて思う事がありまして。ちょっとそれを言う前に、事故原因を分析したいと思います。
 
以下事故の記事からの引用です。
 
2013年8月2日15時9分
窓ガラス清掃中、作業員が転落死 神戸線兵庫駅前のビル

 2日午前9時30分ごろ、神戸市兵庫区駅前通1丁目の5階建て雑居ビルで窓ガラスを清掃中の男性が転落し、死亡した。
兵庫署によると、神戸市西区の男性(41)とみられ、屋上からブランコに乗って降りる途中、何らかの原因でつり下げたロープが外れ、約20メートル下に落下したという。現場は、JR神戸線兵庫駅前のビル街。雑居ビルの1階はコンビニエンスストアで、周囲は一時騒然とした。
 
普通に大惨事ですよね。一階がコンビニという事なんですけど、落ちて通行人に当たるという二次災害がなかったのは、不幸中の幸いです。
 
おそらくまだ詳細は分かってないと思うんですが。この事故のポイントは落下したという事です。
 
普通は命綱を付けてますので、落下する事はありません。落下した場合、考えられる事は二つ。
 
一つ目は、そもそも命綱を垂らしてないという事。
 
二つ目は、自分がぶら下がるロープと、命綱を、屋上の同じ所に結んでるという事です。
 
恐らくこのどちらかが原因でしょう。
どちらにせよども、安全対策を怠ったことに変わりはありませんが。
 
 
こういう死亡事故があった時に、いつも思うことがあります。それは「安全と効率」です。
 
いろんな仕事でいえる事でしょうが、安全性を高めると作業効率は低下します。安全にかける手間が増えますからね。
またその逆も言えます。安全性を低下させれば作業効率は高まると。
 
よって、この落ちた人は、安全性より作業効率を優先していたということになります。ロープのセットを簡潔にすることで、作業の効率アップを計っていたのでしょう。
(ロープセットを簡潔にするくらいじゃ、たいして効率上がらないですけどね。勘違いしてる同業者が多いです)
 
 
近年、安全よりも効率を優先した結果の事故が増えていると感じます。
 
あまり弁護するつもりはありませんが、背景には窓ガラス清掃の単価が下がっている事も、原因の一つだと思います。
 
窓ガラス清掃に掛かる経費の大半は人件費です。一つの仕事で単価、金額が下がれば、それだけその仕事にかける作業員の人数が減ります。そうすると、効率を優先させないと、仕事そのものが終わらなくなります。そうして焦って作業をした結果、事故を起こしてしまうわけです。
 
事故する時の一番の原因は「焦る気持ち」です。少なくとも、最近の事故の根本の原因はこれが多いはずです。
 
 
では、窓ガラス清掃を安全に行う上で、なにが大事なのか?私なりに思っている事が三つあります。
 
①  お金
 
何はともあれお金です。お金がないから、効率優先になってしまうわけで。お金がいくらでもあれば、作業効率なんて考えなくてもいいんです。
 
②  安全に対する知識
 
安全とは何か。安全に対する知識がないと、安全作業は出来ません。以外と知識のない人って多いですけど。本当シャレになりませんよね(笑)
 
③  技術力
 
技術力のある人、仕事の速い人は焦りません。技術力からくる心の余裕がありますので、結果安全です。特に作業責任者に必須の能力ですね。技術力が低い奴は最低の段取りを組みますから(笑)その結果、皆で焦る事になります。最悪のパターンです。
 
 
一般的な安全講習なんかでは、②だけを言いますね。個人的には木を見て森を見ない行為だと思ってます。
 
安全とはバランスなので、一部分にだけ目をやってはダメです。全体のバランスをみて判断しないといけません。だから難しいんですけど。
 
 
実際に死亡事故があった時。いろいろな原因があります。でもですね、一番悪いのは、会社でも世間でもなく、死んだ本人なんですよ。これは本当にそう思います。
 
だから、死んじゃダメなんですよ。たかが窓拭きなんかで死んじゃダメ。
 
ダメ。絶対。