ホーリーの窓拭き日記

窓拭き会社社長による、窓拭きブログです。

半年で6人も死んでるガラス屋(窓拭きのプロ)に対して、今自分が言いたいのはこれだけ

 

知り合いのフェイスブック投稿で知ったんですが、ガラス屋(窓拭きのプロ)ってここ半年で6人も死んでるんですね。

くっそ見づらいPDFなんですが、ここにそう書いてありました。

http://www.gca.or.jp/pdf/20170827.pdf

 

てかこれ書いてて思い出したけど、この資料、こないだうちにも来てたな。読まずに捨てちゃったじゃないかw

 

んー、PDFが読みづらいんで、とりあえず画像を貼っておきましょう。これも五十歩百歩な気がするけど。

 

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本題に入る前にって言うか、まだ本題のそれも考えてないんですけど、とりあえず高齢者多いですよね。

さっきTwitterで冗談半分で年齢制限について言ったんですけど、それもガチでやった方がいいかもしれないですね。ガラスの高所作業は30代以下限定ってやつ。

 

将来のロボット化は必須としても、その手前で年齢制限設けてもいいんじゃないかな。結局個人の注意力、判断力に依存する場面はゼロにならないんだから、ルールだけじゃ防げないでしょ。30代以下の死亡事故は最近ゼロってとこで、30代以下限定でいいと思う。高所は。

— 堀口太郎 (@gevvoihorry) 2017年9月5日

 

ここに書いた通り、結局個人の注意力、判断力に依存する場面はゼロにならないんですから、僕は年齢制限ありだと思います。とりあえず会社内のローカルルールでもいいから。

「うちは30代以下がいないから、そうなると困る」なんて会社は、若い人を入れる努力をするか、家事代行サービスをする会社に生まれ変わればいいと思います。

これも半分冗談ですが、半分はマジです。家事代行もいいですよ。ニーズは高まる一方ですから。

 

えー、しかしこういう死亡事故って、意識改革とか、技術的なことで解決されるんでしょうか。僕は無理だと思います。いや、無理だと言い切ります。それはさっき書いた通り、個人の能力に依存する場面がゼロにならないから。

交通事故ってゼロにならないですよね。てか半端ない数起こってるじゃないですか。あれと一緒なんですよね。

結局人間の能力に依存する限り、必然的に起こります。これは減らない。

 

当たり前なんですけど、自動運転になったら相当減りますよ。導入当初はどういう不具合が出るか分かりませんが、機械はパターンを学習するんで、信じられないくらい減るでしょう。

これはロープの免許制度が導入されるとき、事故は減らないどころか増えるって言い切った僕の予想なんで間違いないw

ロープ作業が法令化されるらしいけど、それって意味あるの? - ホーリーの普通の日記

 

ここに書いてある安全対策から、少し気持ちは変わって来てるんですけど、まあ大筋はこのままですね。

んで、これから安全に対してどういう言いたいんですが、その前にさっきの事故事例を見てみましょう。

http://www.gca.or.jp/pdf/20170827.pdf

 

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これ事例の5がスライダー(2連はしご)なんですよ。解説なんていうご大層なところには、「安全帯を取り付けるための設備が無かった結果、安全帯の未使用が原因となった」なんて書いてるんですけど、これどこに取り付ければいいんですか?

ロープ講習のときにも、この話出てましたけど、現実的にはスライダーをやるときに、ライフラインなんて確保出来ないですよね?

そういう場合はどうしたらいいんでしょうか?ポール?ポールで引けない場合はタワー?タワーの予算がない場合は?

 

これを防ぐ方法あったら、教えていただきたいものです。

 

えー、ちょっと続けざまに、今考えた架空の話をしたいと思います。

最近雨が多いじゃないですか。夏なのに。んで出来ない現場が重なっていったとしましょう。

もう多少の雨でもやっちゃおう。止み間を狙ってやっていかないと、今月の仕事消化出来ないぜ、ってことで決行するんですよ。

 

夜から降り続いた雨が朝には止んで、予報を見る限り、13時までは大丈夫。雨降らない。

現場が重なってるんで、いつもより少ない人数でロープを降りることになった。時間の縛りもあるんで、みんな少し急いでる。そんな中、一人が雨で足を滑らせて屋上から落下して死亡した。

 

これって実際には安全対策を怠ったことが原因になると思います。

例えばH鋼の上を歩いていって、H鋼からロープを取って降りる現場だとしましょうよ。

歩いている最中に足を滑らせて落ちたと仮定すると、これは自分の体を確保しながら歩いていなかった本人のせい。その対策をしなかった会社のせいになります。

 

なんでもいいんですけど、例えば親綱を貼って、そこにスリングとカラビナで体を繋げてれば、落ちはしない。死亡事故には繋がらない可能性が非常に高いわけです。

でもそれするのも手間じゃないですか。本人たちも分かってたけど、ちょっと時間がなかったと。

 

このときの本質的な原因てなんでしょうか。僕はここに最近の事故の理由が隠されてると思うんですよね。

 

えー、もうひとつ架空の話をば。

 

最近のガラスってクレーム多いじゃないですか。昔と比べて。

ただプレイヤー(作業員て言葉は嫌いなんで、こう書きたい)の質は上がってるんですよ。

これは間違いなく上がってるんですけど、クレームは減らない。むしろ増えてる。

 

なんでかっていうと、元請けだったりビル側が、しょーもないことを言うようになったからだと思います。

コンプライアンスって言うんでしたっけ?コロプラみたいな。あれが関係してるのか知らないですけど、まあ本当にどうでもいいクレーム増えたじゃないですか。

なのでこれを踏まえた話をしたいと思います。

 

会社で昔からやってる現場。昔は楽勝だったけど、最近は予算の関係で人が減った。

だから頑張れば15時に終わるけど、16時くらいまでかかるようになっちゃった。前は適当にやってても14時過ぎに終わってたのに。

 

んで、最近になってその現場の担当者が「うるさい奴」に変わっちゃった。

今日までなあなあで、手抜きしてる箇所もあったけど、全部チェックされて、指摘されるようになった。

 

その日は経験の浅い子も一緒に入ったんだけど、昼過ぎにその子がやったところが汚いと指摘され、手直しをすることになった。

そうこうしてると、現場の終わり時間が怪しくなる。うるさい担当者だから、後日にするのもやっかい。露骨に嫌な顔をするんで、午後の休憩も取らず、なんとか終わるように努力をするプレイヤーたち。

 

最後に残ったのは、2階外回りのスライダー。現場の周りには茂みが多く、スライダーをスパンごとに横移動させるのも厄介。

終わらないかもしれないことに気を回した一人が、普段よりも多めにスパンを稼ごうとする。

そのときにバランスを崩して落下。下の縁石に頭を打ち死亡。

 

こんな話があったとしましょう。これも原因は安全対策にありますよね。

スライダーから横に距離を稼ごうとして、そのまま倒れてるんだから、そんな無茶をしたのが原因だと。

またさっきの事例5を持ってくれば、そもそも安全帯を取り付けてなかったってことになるんでしょう。

 

ただ、ここで声を大にして言いたい。

 

原因て本当にこれ?

 

本質的な原因は他のところにあるでしょう。

 

☆☆☆

 

別になんだ。僕は元請けとかビル側に、責任をなすりつけたいわけではないんです。

事故したら、それは作業を請け負った会社の責任ですよ。基本的な部分では。

 

んで、ここから安全対策について書きたいんですけど、とりあえず言えることは意識論しかありません。安全なガラス清掃ってやつに対する、自分の考え方ですね。

最近はIRATAなんてもんもあって、これを受講することで、技術や安全意識が改革されてる人も多いんでしょうけど、30歳を超えた僕には、正直興味のないことなので、技術のことは書きません。いや、書けないのかな。多分w

まあIRATA受けてようが、それが活かせない場面もありますしね。乗り出しとか、スライダーとか。

 

えー、そんなわけで意識の部分について書いてみたいと思います。

 

言いたいのは、本当にこれだけ。

 

やるな

 

やらなければ事故は起きん。だからやるな。無理してやるな。

 

危険なところにアプローチして、そこの窓を綺麗にするのがガラス屋の仕事。それは分かる。でもヤバイ箇所はやるな。

現場が終わらなくてもいい。もしも終わらなくても、世界は平和だし、あなたの人生に影響はない。だからやるな。

 

うるさい担当者にごちゃごちゃ言われてもOK。どうせそんなやつは、上司に指摘されるのをビビってるだけだ。だからやるな。

本当にガラスを綺麗にしたいんだったら、今みたいな頻度では頼まんよ。だからそれを踏まえて、その上でやるな。

 

現場で「怖い」って言ってもいいし、「危ないからここやりたくない」って言ってもいいの。それであなたの人生が大きく変わることはないから。

あえてやらない勇気を持った方がいいんだよ。これマジで。

 

プロだよ。僕たちは。でもプロっていうのは、それに見合った対価があってこそのプロフェッショナルだからね。

しょーもない条件でごちゃごちゃいう奴にプロの顔を見せることはないし、仮にまっとうな条件だったとしても、現場判断でやらなくてもいいの。

まっとうな相手なら、その言い分をちゃんと汲んでくれて、然るべきところに話は落ちるから。

 

やるな。無理するな。死ぬな。 

 

本当にこれ。

 

☆☆☆

 

これだけ死亡事故が起きてても、まだまだ死ぬ人は出るでしょう。てか正直な気持ちを書けば、勢いはそんなに衰えないと思ってます。

だからこそ言いたい。やるなと。

 

別に今日までやってた現場に新たな安全対策を追加してもいいんですよ。うちもあります。その結果作業は遅くなるし、なんなら前より多めに手抜きして終わりにしてますけど、これでいいんです。

終わらせなくてもいい。手抜きしてもいい。でも無理はするな。んで絶対に死ぬな。

何か不安を感じたら、責任者、会社に言えばいい。そしてその結果「やれ」と言われてもやるな。んでそのまま会社をやめればいい。ガラス屋なんて他も沢山ある。大丈夫。だからやるな。

 

ガラス屋って、本当にガラス、窓拭きが好きな人が多いじゃないですか。ついでに言うと性格のいい人が多い。

だからそういう人たちが、しょーもない条件の中でプロの顔を見せてると思うと、僕は本当につらいですよ。

 

無意味に消費されるような働き方を求められる中で、僕たちガラス屋が生きる意味ってなんでしょうか?

 

。。。

 

はい。

 

それはあれです。

 

とある窓拭き野郎が生きる意味

とある窓拭き野郎が生きる意味

 

 

この小説の中に書いてあります

 

いやー、事故に便乗して小説の宣伝をしようと思ったら、思いのほか長くなってしまいましたよ。

 

まあこの小説を読んだら、ガラス屋の事故も減るんじゃないですかね。多分。

 

知らんけどw

 

えー、現場からは以上です。

 

「とある窓拭き野郎が生きる意味」ってタイトルの小説を出版しました。 - ホーリーの窓拭き日記

 

P.S.

あ、そうそう。僕はロボット推進派なんで、本気で早くロボットに変わった方がいいと思ってます。ガラスなんて人間がやるもんじゃないし、命がけの仕事なんて、さっさとなくなるべきだと思います。

これからの社会のあり方として、健全じゃないですよ。仕事で命を落とすって、過労死や自殺も含めれば、全然ガラス屋に限らないんですけど、そういう広い意味でロボット化に賛成だし、社会のセーフティーネットをもっと整備するべきでしょう。

人がやるうちは、今回書いた意見になりますけど、今後を踏まえて言えば、高所の窓拭きなんて人間がやるべき仕事でないと思うんですよね。

今すぐに窓拭きなくなったら、生活に困るけどw